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Aso-4火砕流堆積物(溶結凝灰岩)

Aso-4火砕流堆積物(溶結凝灰岩)
資料番号 AS-01
英語名 Aso-4 Pyroclastic Flow Deposit
記号 A4
分布する自治体 阿蘇市,山都町,西原村,南阿蘇村,高森町,産山村,南小国町,小国町
概要 阿蘇カルデラを生成した4回の巨大噴火のうち、4回目の噴火で噴出した火砕流堆積物です。およそ9万年前に噴出しました。高温で堆積したため、溶結しており、溶結凝灰岩と呼ばれています。山都町の蘇陽峡や宮崎県高千穂町の高千穂峡に溶結凝灰岩を見ることができます。また、小国町の鍋ケ滝や大分県豊後大野市の原尻の滝などもこの火砕流によって作られた景観です。九州各地に見られる石橋や摩崖仏にも見ることができます。 阿蘇カルデラ縁からほぼ全方向域の台地や斜面を構成して普遍的に分布する火砕流堆積物です。 阿蘇 -4 火砕流堆積物は阿蘇カルデラ西側では8枚のサブユニット( Watanabe,1978,1979 )が,東側では3枚のサブユニット (小野ほか,1977) が識別されていますが、そ れらの詳細な対比については部分的に明らかにさ れつつあります(斎藤・星住,2006 )。いずれも軽石などの本質物に角閃石斑晶を含むことで、他の阿蘇火砕流 堆積物から区別することができます。また、カルデラ縁付近では、石質岩塊が濃集した岩相を示しています。本質岩塊は流紋岩質軽石から玄武岩質スコリアまで変化します( Watanabe,1978, 1979 )。噴出年代は約 9万年前です(渡辺, 2003)。 阿蘇 -4 火砕流堆積物は天草では五和町御領および上野原地区で佐伊津層の砂岩や泥岩を覆って、比高 30 〜50m の台地に比較的まとまって露出するほか、五和町の丘陵地の川や低地沿い におよそ 5m の崖をつくって点在します。黒色ないし黒灰色を呈しています。弱溶結の溶結凝灰岩で径 1〜3cm のやや偏平な軽石を含み、輝石および角閃石の結晶を含みます。 阿蘇 -4 火砕流堆積物は、九州山地の谷部にも点々と侵食に取り残されて分布しています。このような深い谷を埋めた部分では、堆積物は強く溶結し、谷壁に厚いところでは20 mを越える柱状節理の発達した岩体として認められます(渡辺・岩崎・豊原, 1984 ;田村・渡辺, 1980 渡辺・横山 ,1986 )。また、人吉市、錦町、多良木町の球磨川北岸、湯前町の球磨川南岸では火砕流台地を形 成し、暗灰色で同色の軽石を含んでいます。人吉盆地内でも一部弱溶結しており古墳の多くはこの岩層につくられています。人吉駅北側の大村横穴群はその典型例です。